熱を帯びる電子書籍の配信プラットフォーム競争

熱を帯びる電子書籍の配信プラットフォーム競争――日本独自の規格は正しい選択か?
http://bit.ly/c4f5X2

上の記事は非常に良記事なので、興味のある人はぜひ読むべき。

前回も扱った電子書籍の話ですが、今回も電子書籍の話。今回は上の記事が知識のない人には難しいので噛み砕いて説明したいと思う。

私たちが見ている電子書籍は、私たちがよく目にするpdf形式で配信されているわけではない。もしもpdf形式で配信してしまうと違法コピーや違法アップロードなどが多発してしまうからである。だから、電子書籍はアプリケーションとして配信されている。iPhoneを利用している人はよく理解していると思うが、例えば私が漫画「カイジ vol.1」をダウンロードするとしよう。すると、「カイジ vol.1」は他のアプリと同じように一緒に並んでいるのである。そのようにApp Storeでは電子書籍はアプリとして配信されている。

このアプリの規格が各社異なっているのが問題なのである。
例えば、映画のビデオを作るとしよう。そのときAmazonはDVD、Appleはブルーレイ、日本の凸出版はビデオテープで出したとする(ここでは3つの規格に優劣はないと考えてもらいたい)。つまり、AmazonからDVDで買ったらビデオデッキでは見られない。電子書籍も同じで、Amazonで買った本はAppleのアプリとして見ることはできないのである。

これは少し面倒な話であり、普通の本の感覚ならば買ったのだからいつでもどんな状況でも読めるようにすべきである。しかし、電子書籍の場合はそうはいかず専用のハードやソフトがないと読めないのである。

ここで上の記事では電子書籍に出遅れた日本勢は次世代の規格にかけてみてはどうかと述べている。次世代の規格というのはHTML5のことであり、AppleのCEOなどの米国の経営者たちが非常に評価している規格である。そのため、いずれは電子書籍HTML5に移行してくると予測し、日本勢はここでスタートダッシュをしておけば遅れを取り戻せるのではないかと述べている。

この戦略が正しいかどうかはわからない。近い未来を見るのであればすぐにでも用意できる規格で勝負して日本語の書籍のシェアを確保したいところである。しかし、少し遠い未来を見るのであればHTML5で勝負して、現在は米国勢にいいようにさせておくが将来は日本勢が逆転するという構図もいいかもしれない。

とにかく実際の現在の日本勢は、HTML5でない独自の規格で勝負をするようだ。この決断がどうなるか見物である。


電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
(2010/04/15)
佐々木 俊尚

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